@1997.5.24 於 近畿大学 メンタルトレーニング応用スポーツ心理学研究会 報告者 N.TAKEDA
人生を二つに分けて考えて下さい。
1. Green Zone:仕事以外の日常生活
2. Gold Zone :仕事、スポーツ
仕事やスポーツで成功するには、Green Zone
を高めることが必要です。休み (心と体の両面)がうまく取れなければ技術面は伸びません。私はスポーツ選手やナサの宇宙飛行士、音楽家、手術の執刀医、幼い子供など、色々な人たちにメンタルトレーニングを教えてきました。私にとってのメンタルトレーニングとは物事(人生、仕事、家庭、人間関係など)に対する態度(attitude)の決め方を意味します。
●目標設定---プランニングの大切さ どんな人間になりたいのか?
How do you live? 人生の目標は何なのか?
What is your goal in life? 時間をとって、どこに進みたいのか、何をしたいのか、考えて下さい。
プランは詳細に立てて下さい。方向性が大切です。そしてそれを達成したときの気持ちと体、両方のイメージを作り上げることです。
メンタルトレーニングは、これからの人生の方向性がオープンである小さな 子供にこそ必要です。メンタルトレーニングとは、ライフスキル(life
skill) つまり生活に必要な技術です。4〜5歳の子供にも次のようなメンタルトレーニングのテクニックを教えることは可能であるし、また必要なことだと考えています。
☆リラクゼーション ☆フォーカシング(集中力)
☆リ・フォーカシング(とぎれた集中力を取り戻す)
☆イメージトレーニング ☆プラス思考 これらのスキルに先だって一番大事なことは、楽しむこと(enjoyment)を子供に教えることです。
自分の目標や夢を持つことです。決断すること。イメージを持つこと。初めに夢を持たなければ何も始まりません。そして一番大事なことは気持ちを持続することです。夢を持ってもそれが長続きしない人が多いのです。
●Positive Thinking(プラス思考) Find something positive in everything.
あらゆる物の中にあるプラスの側面に目を向けて下さい。同じものを見ても プラスの面を、良い所を見つけてほめて下さい。努力したら今日したことの中で良かったことを探して下さい。プラスの要素を持ったチャンスを見つけることです。まわりの人たちはマイナスのことを言うものです。「無理だ。不可能だ。つまらない。」それに惑わされないで自分自身の内から出ている良いものに耳を傾けてください。
☆「High Light」 生活の中で、ごく小さな事でいいから、良かったこと(high
light)を見つけ ましょう。
雨→「いやだなー」× 雨の中にも喜びを見つける。花が水を得て生き返ってくるの見つける。
雨が肌に当たってひんやり気持ちがよい。 1日の中でこんな良いことがあったと1日が終わって寝る前にそれを思い返してみることです。小さな事でも見つけだすようにしてください。練習の終わりのミーティングで今日一日のハイライトをみんなで報告する場を作ってください。練習日誌に今日のハイライトを書く欄を設けてください。
●Step by Step 目の前にあるステップに気持ちを集中させることです。一つ出来たら次のステップへ。また次のステップへ進みましょう。私がよく走りに行くコースに長 い坂道があります。その一番上を見たら苦しくなってきます。足元を見て一歩一歩に集中していく。右足、左足、と集中していくと楽に走りきれるもので す。
●Focusing(集中) Focus!集中!集中!集中! 仕事でも人間関係でもその場に自分を入れ込んでいけるかどうかです。今という瞬間は次には消えてしまうのです。しかし集中するには逆にリラグゼーションが必要です。
※講演会では、ここで高妻先生によるリラクゼーションの実技講習が入りその後、数分間の休憩が入る。
☆集中とリラクゼーションの関係
@練習後、試合前日の夜寝る前---リラクゼーション。疲れた体と気持ちから回復するプロセス。これがあって次の日も集中できるのです。
A試合中 試合中いかにリラックスするか? moving
is floating 流れるような動きが必要で緊張した筋肉は必要ありません。しかし寝てしまうようなリラクゼーション(feeling
loose like sleeping)ではダメです。アーチェリーの選手を例に取りましょう。呼吸をする。矢を射る前にゆっくり息を吐いていく。ここが重要です。自分の脈(鼓動)に、耳を傾ける。鼓動がパッ、パッ、パッ、と打つ間に矢を射る
(between beat)。リラックスとは緊張感が無いことではない。体は力が湧いている。力強い。しかし心は穏やか。すべてをコントロール できる状態。動物のチーターは、体は力強い、しかし動きは、すべるようになめらかなのです。
●プラス思考と集中力のテクニック
うまくいっているときは、誰でもプラスに考えられます。うまくいっていない時こそ、プラス思考が必要です。チャンネルを切り変える(changing
channel) 能力を持つことです。テレビのリモコンを思い浮かべてみましょう。
(4)チャンネル(いやな番組)→(6)チャンネル(おもしろい)
瞬時にリモコンで切り変えています。自分をリモコンに当てはめてください。
☆暗いムード→明るいムード。
☆ストレス→リラックス。
☆否定的→肯定的
☆気分が乗らない→集中
瞬時にボタンを押して切り変えてやるのです。ボタンを押している自分をイメージして気分を変えるきっかけにして下さい。あなたの頭の中にチャンネルがあるのです。そしてあなた自身がチャンネルを切り変えるリモコンなのです。 切り変える能力はあなたの中に備わっています。あとはやる気。自分の親指使ってボタンを押す(クリック)、そのイメージをもってください。
☆簡単なトレーニング 「ネガティブ(否定的)なことを思い浮かべて下さい。そしてクリック。」
例)○暗い空、雨、じめじめ、→青い空、真っ赤な太陽、白い砂浜にいる自分
○試合に負けたときのシーン→ベストが出て大喜びした日の自分
いい経験を思い出し仲間同士でプラスの声かけを行いましょう。このトレーニングでは絶対マイナスイメージのまま終わらないでください。
(高妻先生)attitude control 動作法による気分の切り変え 態度、姿勢、表情を変え、きっかけを作って気分を変える。
きつい練習前。みんな「しんどいなー」と思っている。おおげさにパッと立ち上がり「よっしょ、やるぞー!!」
大きくガッツポーズ、顔をパシッと叩く。出来るだけオーバーアクションで。HEAD
UPする(上を向く)事。下向きうつ向きはダメ。 胸を張って頭(目線)を上げて。
卓球の試合---失敗したとき→ポーカーフェース
成功したとき→大げさにガッツポーズ
(渡辺先生) 試合の途中でも気分を切り変えるテクニックを持つこと。試合中マイナス思考に陥ったら、時間をかけてプラスに切り変える余裕はない。スキーのジャ
ンプ。スタート直前に「失敗したらどうする」と不安がよぎった。ゴルフで
スイング動作に入ってから不安がよぎる。→時間がない。文章でプラス思考を思い浮かべる時間はない。自分でリ・フォーカシングする(とぎれた集中力を取り戻す)ための手順(ルーティーン)を決めておく。
例)☆マイナス思考に陥りかけている自分に気付いたらクイズ番組の不正解の時になる「ブー」というブザーの音を頭の中で鳴らして切り変える。
☆マイナス思考になっている自分に気付いたら信号の黄色を思い浮かべ、
瞬時に緑色に変わるところをイメージする。
☆渡辺君はアメリカ留学中、クイーンズボロウという大学に入るために3年も苦しい勉強の日々を送った。もうあんな日々はこりごり。弱気な自分に気付いたらいつでも「クイーンズボロウ」とたった一言、心の中で叫ぶ。習慣にしておけば、いつでもその一言で自分の気持ちを切り変え自分を取り戻すことが出来る。プラス思考を文章で考えていてはダメ。できるだけ短い言葉や色などのイメージで自分独特なものを作っておく。
またチームメイト同士でも誰かがマイナス思考に陥っているのに気付いたら短い声かけ(peptalk)をする。例えば「気づけ」(洛東高校卓球部)の一言。「気づけ」には、「冷静になれ」「弱気な自分に気づけ」「敵の動揺に気づけ」「技術の基本を思い出せ」等、いくつもの意味を含んでいる。この一言がきっかけで選手は自分を取り戻すことが出来る。
またチームで決めているサインを送っても良い。細かすぎる指示は試合中は逆効果。シンプルが一番。
●Mental Preparation(心の準備) 何かをする前には心の準備をしてから入ることです。これはどんなことにも当てはまります。
例えば今日の講演会、4時間ここにいなければなりません。どうせ、いなければならないなら気持ちよく過ごさなければ損でしょう。私(テリー・オーリック)は、大学で授業を行うとき、教室に「にこっ」と笑いながら入っていきます。心の準備が出来ているか出来ていないかは、自分が決めることです。教室のドアを開ける前に数秒間、手を壁に押し当てて深呼吸します。自分の中の negative mood(否定的な気分)、negative feeling(否定的な感情)を入り口に leaveする(捨てていく)のです。入り口で靴を脱いで入るように negative
なものを置いていく。朝、妻と喧嘩をした、友人と喧嘩したというような、自分の中のもやもやしたものを引きずって仕事(練習)に入らないことです。壁に手を 当てて深呼吸するのは、自分の一種の儀式、ルーティーン(自分で決めた行動 手順、約束事)なのです。私はよく選手に
tree に触って悪いイメージをそこに捨ててきなさいと指導します。オリンピックでこんな事がありました。私が指導していたある選手が予選でライバルにいやなイメージで負けて集中力や自信を無くしていました。その選手は決勝の前、レース場近くのプールに服のまま跳び込んで底に手をついて、底にすべての否定的な考えを捨て去って水面に上がってきました。そして大げさにガッツポーズして「よし、大丈夫!!」と叫んだのです。この行為によって見事に気分を切り替えて、決勝は、世界記録を2秒更新して優勝したのです。
あなた方も家に帰ると必ず雑音がたくさんあります。テレビがついている、家族のおしゃべり、e.c.t.・・・。それらを頭の中から消し去り、ある一つのものだけに集中力を集めるトレーニングをして下さい。練習の時や試合の時、今やらなければならないことのみに心と体のすべてを傾けて集中してやる。必ず negativeなものが入ってきます。それを排除することです。
<ここで実技が入る。> 二人の人が前に出て、それぞれ別々の文章を大きな声で朗読する。聴衆を二つのグループに分けて、片方のグループはAの話だけを聞き、もう一方のグループはBの話しだけを聞く。どれだけ雑音を排除して集中できるか?私(テリー)は、こういうテープを持っていて時々聞いています。
一流選手は、ひとつのことのみに集中する能力を身につけています。何か良くないことが起きても、瞬時にまた良い状態に戻る事が出来るのです。
☆アイスホッケーのキーパー:パック(ボール)が来る。打ってくる。防御する。しかし幾つかはネットに入ってしまう。もし1個が入ってしまったら、それはもう過去。いつまでもそれに気を取られない。後ろに行ったものに気をやらない。次のものに集中する。
☆野球:絶好球を見送った。それを引きずらない。次のボールに集中する。
☆手術の執刀医は、そのスキルに長けた人です。手術には集中力が必要です。時には失敗する。間違ったところ切る。とりあえず、そこを押さえて止血する。一歩下がって深呼吸する。次に自分に何が出来るか、心の準備をする。 準備が出来たら元の場所に戻る。一つのミスは、大きな問題ではありません。それは小さいミスなのです。大切なのはミスのあとにどう対処するかなのです。心をコントロールできない人は、一つの小さなミスが引き金になって次々とミスを重ねていくのです。結果を気にしすぎず、今自分がすべきことに全神経を集中する事です。
<この後質疑応答---以下省略>
Aテリー・オーリック氏の講演会とパネルディスカッション 1997.5.25 於 MIZUNO 報告者 N.TAKEDA
1.時には一歩下がって自分を見つめることの大切さ
森で大勢の木こりが木を切っていました。一人の木こりが木のてっぺんに登って森全体を見渡して、「みんな間違った木を切っている!!」と叫びました。しかしみんな忙しすぎてその声に気づいた木こりは一人だけでした。しかしその一人も、「今忙しい、後にしてくれ!!」。これは、現代人の様子を皮肉った話ですが、誰もが時には仕事から一歩引いて高いところから自分の仕事を見つめ直す必要があるのです。
2.カナダでどのようにメンタルトレーニングを広めたか
当時はカナダに世界で戦える選手はいなかった。オリンピックに向けて3年計画でメンタルトレーニングを実施した。まず目標設定から入る。
<目標設定>
@貴方の夢のような目標は何ですか? ←可能性を広げるためのビジョン−−(Motivation)動機付け
A今年現実的に達成できそうな目標は何ですか?
←やる気を高めるためのもの
B自分をどれくらい受容できますか?←目標を達成できなかったときどれだけ自分を受け入れられるか?またやる気を維持できるか?
目標を必ず達成できるという保証はない。怪我やアクシデントもある。結果だけにこだわらないこと。
C
<試合に向けてのプラン>
@Pre-Competition Plan(試合前のプラン)
---試合に入っていくときの感覚(フィーリング)
ACompetition Focus Plan(試合中の集中プラン)---試合中のの感覚(フィーリング)
私はプランを立てさせるとき必ず 「あなたが最もよい試合結果を出したときはどんなフィーリングだったか?」
「試合前の気持はどうだったか?」 「試合中の気持はどうだったか?」 と問いかけます。オリンピック選手は、そのときのことを鮮明に記憶していました。一流選手はそれだけ、観察力やイメージの再現力が優れているのです。そしてその記憶を基に目指す試合のメンタルプランを立てさせるのです。
BDistraction Plan(集中力が切れたり、アクシデントが起きたときの回復プラン)
試合に向けての心配事。集中をそぐこと。ライバル。コーチに否定されたこと。そういったことをノートに書き出させた。大きな試合になるほど心を乱すことがよく起こる。そうしたものからの回復プランを考えさせる。瞬時に出来なければ意味がない。具体的なイメージを思い起こさせる。短い言葉を思い浮かべて気持を切り変える。何も考えないでその場と一体化してプレイしたときほどいいパフォーマンスが出来る。
| プランを立てる。 |
| 実際に試合でやってみる。 |
| 自己評価する。 |
| プランをグレードアップする。 |
<集中力の回復プランの具体例>工事中ですもうしばらくお待ちください。
●木にふれる
Cマスコミ対策プラン
DTeam Harmony Plan(チーム間のコミュニケーションのプラン)
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A
B
C
4.Wheel of Human Excellence
5.子供に学ぶ集中力
6.日本と北米の違い
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