競技力向上を目的とした心理的サポートやメンタル面強化の専門家育成の試み(メンタルトレーニングの専門家育成システム)


東海大学体育学部(学部・大学院)における

メンタルトレーニングの専門家育成システムの構築

                 

はじめに、日本スポーツ心理学会では、2000年より「メンタルトレーニング指導士・指導士補」の資格制度をスタートしました。今後は、各体育系大学を中心に「メンタルトレーニング指導士・指導士補」育成のプログラムが整備されていくと思われます。また、体育系の学生達もこの資格を目標に勉強をすると考えられます。そこで、東海大学高妻研究室では、他の大学に先駆けて、メンタルトレーニングの指導や心理的サポートができる専門家育成のシステムを作ることになりました。

 (高妻容一)は、1991年にスェーデンのオレブロ大学で開催された第1回国際メンタルトレーニング学会において、運営委員・日本代表委員に選出され、日本におけるメンタルトレーニングの普及の命を受けました。1994年からは、国際メンタルトレーニング学会の日本支部会として、メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会を立ち上げました。当時近畿大学に勤務していた私は、毎月1回の研究会を開催し、現場への普及活動を本格的にスタートしました。

2000年4月に東海大学体育学部に勤務が変わり、体育学部体育学科コーチングコース所属となりました。ここでは、ゼミ(研究ゼミナール)も含めて、大学の授業を通してコーチ育成に関わることとなりました。同時に、メンタルトレーニング指導士・補の資格制度ができ、この大学の授業やゼミなどを通してメンタルトレーニング指導者の育成ができないかと考え、授業の目的や内容を整備してみました。この試みは、国際応用スポーツ心理学会の認定する大学院のプログラムを参考に、資格を取るための授業設定、また大学院生を研究者育成し、同様に現場での実践者育成をしている北米の大学を参考にしてみました。
 1996年に、国際メンタルトレーニング学会が国際ライセンス制度をスタートさせたときに、日本語で国際ライセンスが取れることはできないかと理事会にもちかけました。そのときに提出したのが「300単位基準」でした、その後2004年には「1000単位基準」と「プロ」のタイトルを付加し、その基準に沿うように専門家育成のシステムを構築しました。


 2003年より、東海大学体育学部では、改組改変が行われ、その中で競技スポーツ学科:コーチ・トレーナーコース」が新しくスタートしました。この新しいカリキュラムの中で、「メンタルトレーニングコーチ」育成ができないかと考え、下記のような専門家育成のシステムの構築をはじめました。また、2004年より、大学院を担当するようになり、学部4年大学院修士課程2年を加えた合計6年の研修システムを作りあげました。2006年5月現在、下記のようなメンタルトレーニングの専門家育成のシステムを構築しました。まだ試行錯誤の段階ではありますが、この試みが他の大学にも波及し、日本全体において、メンタルトレーニングや心理的サポートの専門家育成に関する検討やプログラム作りが進展すればと考えています。

メンタル面強化に対する現場のニーズはあるが、それに答えられない現状がある。

  選手たちは、「試合で勝ちたい、うまくなりたい」という気持ちを持ち、監督やコーチなどの指導者は、「試合で勝たせたい、上達させたい」という強い気持ちを持っています。このような「競技力向上」が現場の大きなニーズなのですが、メンタル面強化に関しては、根性主義や精神主義といわれる経験なものや選手の責任(選手まかせ)にする傾向がありました。そこには、メンタル面強化の専門家が少ない、育っていない、育成機関や育成のプログラムがないという事情がありました。そのために、多くの自称専門家が現れ、ビジネスとして指導したり、メンタルトレーニングではないものを紹介するなど、スポーツの現場を混乱させるという状況が起こりました。

メンタルトレーニングの専門家育成システムの紹介


目的:@日本スポーツ心理学会認定「メンタルトレーニング指導士補」の資格取得

Aメンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会の「1000単位基準」取得
Bスポーツにおけるメンタル面強化の指導やサポートができる人材づくり

内容:研修の9本柱

(1)体育学部の授業

(2)大学院の授業

(3)スポーツ教育センター・スポーツ医科学研究所のスポーツサポートシステム

(4)スポーツ教育センター:トレーニングリーダー養成講座

(5)東海大学メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会

(6)関東地区メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会

(7)静岡県スポーツ教育センター:トレーニングリーダー養成講座

(8)全国のメンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会

(9)高妻研究室の活動

  
(1)大学(体育学部)の授業を通しての試み

 

ここでは、2006年現在、私が担当する授業を、可能なかぎり、メンタル面強化の心理的サポートができる専門家育成の内容にして試みています。

 @スポーツ心理学(1年生で受講できる科目): この授業は、体育・スポーツ心理学およびメンタルトレーニングや心理的サポートの紹介編という形式にしました。この授業は体育やスポーツを心理学的側面から研究・応用するという目的のもとに、体育・スポーツにおけるメンタル面(心理面)の重要性を認識してもらう内容としました。
 具体的には、体育とは?スポーツとは?体育心理学とは?スポーツ心理学とは?体育学会の分類表の紹介など基本的な知識を認識してもらいます。次に、不安と運動、不安がパフォーマンスにどう影響するか、プレッシャーやストレスがスポーツに及ぼす影響、動機づけ、運動技能、運動技能の発達段階、学習、学習曲線、プラトーやスランプ、フィードバック、
KR(結果の知識)、コミュニケーションなどの運動学習やスポーツ心理学の理論的背景を知識として学ぶ内容です。さらにビデオを使いこれらの理論を現場でどう応用・実践するのか、またメンタル面強化の心理的スキルやそのトレーニング方法を紹介することもやります。このような従来の内容に、知識だけでなく、ビデオを活用した心理面の重要性の認識、そして選手が「応用」できる内容、また将来指導者になった時のより効果的な指導法や理想的な指導者像までを考える内容にしました。授業の前には、その日の内容をテスト問題として考えてもらい、授業の最後には、その日の内容を練習や試合でどう使うかのテストを実施し、その日の内容はその日のうちに身につけさせ、可能なかぎりその日や今週(授業は週1回)の練習や試合で応用することを目標としました。 東海大学では、他学部・他学科の学生でもこの授業を受講できるようになっており、体育学部以外の学生も含めて、毎学期300名以上が受講しています。

 

Aスポーツ心理学特講(2年生で受講できる科目): この授業は競技スポーツ学科アスリートコースの依頼により作られたもので、選手の競技力向上に役に立つ内容としての「メンタルトレーニング初級編」としました。もちろん、他学部・学科・コースの学生も、選択科目として受講できます。この授業の目的は、トップアスリートを目指すアスリートコースの学生が選手として自分の上達や試合での成績をあげるための「メンタル面強化のトレーニング」として行なうため、大学の普通の授業とは違うことを説明し実施しています。そのために、その日の授業で紹介した心理的スキルを、その日の練習でどう使うか、どのように応用し実践するかのテストや宿題を毎回実施ししています。具体的な内容は、今すぐ使えるメンタルトレーニング:選手用(ベースボールマガジン社)を教科書(初級編プログラム)にして、その内容に沿って授業を進めます。まず、初日と最後の日に心理的競技能力検査とアンケートを実施し、半期12回の授業でのひとつの効果を自分で分析させたたり、科学的なデータをどう取り、それを自分の練習にどう生かすか、または指導者になったときにどのようにデータを生かした指導ができるかなども学びます。その具体的な内容は、教科書に沿って行われ、メンタルトレーニングの紹介、歴史的背景、成功例や実践例の紹介、目標設定、リラクゼーション・サキングアップの実技体験とセルフコントロールの理論的背景、フロー、呼吸や音楽の理論的背景と応用法、イメージトレーニング、集中力、プラス思考、セルフトーク、試合に対する心理的準備などを知識として説明し、毎回必ず現場で実践できる実技やビデオを使い現場での応用や実践までを紹介します。宿題として、自分でメンタルトレーニングが実施できる「書き込み用紙(自己学習プログラム)」などもやり、選手がこのプログラムを実施することで、より効果的なトレーニングができるようにしました。さらに、毎日の生活でメンタル面強化ができる実践的な内容でもあり、授業というよりまさにメンタル面強化の「トレーニング」をする内容の授業です。大学で実施する授業評価では、毎年97%前後の学生が「役に立った」と答えてくれました。

Bコーチング心理学(2年生から受講可能だが、3年生で受講してほしい科目): この授業は、競技スポーツ学科コーチ・トレーナーコースの学生を対象にした(ただし、全学部の学生も受講可)もので、コーチが選手を指導する場合の心理的側面から授業を展開します。選手を育てる理想的なコーチングを徹底して追求する内容です。教科書には、「今すぐ使えるメンタルトレーニング:コーチ用」(ベースボールマガジン社)を使用し、メンタル面強化を目標にした指導や心理的側面を考慮した指導法の理解をしてもらう内容です。たとえば、自分が選手の立場に立ち、やる気を高めるプログラムを授業の中で体験し、その指導法を理解する。その後は、コーチのコミュニケーションスキルの実演をします。(ある年は、授業を受講していたオリンピック代表の2名の選手にデモンストレーションをしてもらいました)これは、パートナーを見つけての実習として実施します。特に、選手の内発的なモチベーションを高める具体的な方法やその理論などを紹介します。また小出義雄監督などの優秀だと言われるコーチを例にとり、優秀コーチのコーチングを心理的側面から分析したもの等も取り入れるなど、理想的なコーチやコーチングに関して心理的側面から考えた内容です。さらに、現場での競技力向上を目的とした指導法、メンタル面強化のメンタルトレーニングの指導法、心理的サポートの方法なども紹介します。授業の前には、その日の内容をテスト問題として考えてもらい、授業の最後には、その日の内容を将来の指導でどう使うかのプログラム化するテスト(考え・すぐに実行できるプラン作り)を実施し、その日の内容はその日のうちに身につけさせ、可能なかぎり、まわりのコーチを観察し、自分にとってどんな点が参考になり、どんな点をより効果的に指導するかを認識する内容にもしました。どうすれば理想的なコーチになれるのかが目的の授業です。

 

Cコーチング理論・実習:メンタルトレーニング (3年生が受講できる科目) この授業は、競技スポーツ学科のコーチ・トレーナーコースの中で、メンタルトレーニングを専門に学びたい学生を中心に、将来コーチとしてメンタルトレーニングを指導に活用したいという学生が選択できる内容のものです。もちろん、他学部・他学科の学生も受講可能です。以前は、大学院で実施していたものを学部で指導するような内容のものです。教科書として、日本スポーツ心理学会編集の「スポーツメンタルトレーニング教本」(大修館書店)を使い、メンタルトレーニングを指導する専門家育成を目的としたものとしました。教科書は、日本スポーツ心理学会認定の「スポーツメンタルトレーニング指導士・補」の資格を取るために必要な知識や実践方法が書いてあるもので、資格認定委員会主催の研修などでも使われるものです。ここに私が経験してきた現場での実践を紹介したり、国際応用スポーツ心理学会の最新情報や国際メンタルトレーニング学会の報告など世界レベルでの情報を取り組んでの内容になります。

 

Dコーチング実習:メンタルトレーニング  (4年生で受講できる授業) この授業は、ほとんどの学生が初めて経験する「空手」を取り上げ、スポーツ心理学の理論やメンタルトレーニングの理論に基づき体験することを目的としました。つまり、スポーツ心理学特講やコーチング心理学の講義の実践編という内容です。具体的には、@授業の前から音楽を流し、気持ちのりや雰囲気を作る。A授業のはじめに導入としての最新のトピックスを取り上げ学生(選手)のモチベーションや集中力を高める。B音楽を利用し、リラクゼーションを実施し、心の(心理的)ストレッチと意味づけ、気持ちの切り替えや集中力を高める体験をする。Cサイキングアップを心の(心理的)ウォーミングアップとし、やる気や気持ちのノリを意識して作り実技を体験する。D身体的なウォーミングアップやストレッチを音楽を使用し実施。E普段の授業(練習)にはいっていく。また、Fコミュニケーションやポジティブなフィードバック(よいとろををほめる)を使いながらパートナーと練習をする。Gイメージトレーニングを空手の型やヌンチャクの型で体験。H組手(戦いのゲーム)のなかで集中力の高め方を体験、Iプラス思考でプラスのセルフトークを使いながら授業を受けパートナーとの練習。またJ教師はほめて、ほめて、ほめまくるポジティブインストラクションやコミュニケーションを紹介。さらに、KKRの理論を応用したフィードバックなどを説明し、実際に理論にのっとった指導をし、学生はそれを体験するなどの内容です。L昇級試験というプレッシャーのかかる状況を作り、みんなの前で試験を受ける緊張感をどうコントロールするかの体験もします。M最後には、教育実習を意識しながら、自分の専門ではない種目を、指導(コーチング)するというところまで経験する内容です。

このようにスポーツ心理学やメンタルトレーングの理論を実技に応用することを目的とした授業でもあります。コーチ・トレーナーコースの学生が、指導者になったとき、またトレーナーやメンタル面強化の専門家になったときの「コミュニケーション(スキル)」の仕方を学び、選手やコーチとの人間関係をよりよくする具体的な方法を学ぶ実習としています。

 

E研究ゼミナールI(3年生のゼミ): このゼミでは、メンタル面強化のメンタルトレーニングや心理的サポートについて、半期で基礎から応用までの説明と講義をします。後期には、自分の所属するチームなどに半年から1年「学生メンタルトレーニングコーチ」として、毎日の練習や試合でメンタルトレーニングを指導したり、心理的サポートを実際に実施してもらいます。同時に、体協競技意欲検査(TSMI)や心理的競技能力検査(DIPCA)などの心理テストをPretest ? Posttest1 ?Posttest2形式で実施しデータの収集を行ないメンタル面のトレーニング効果を分析します。たとえば、学内外で導入した種目は、サッカー、野球、チアリーディング、水泳、テニス、陸上(跳躍)、ライフセービング、柔道、バドミントン、バスケットボールなど20チーム以上のチームが導入して、学生は現場での研修をしています。

 

F研究ゼミナールII(ゼミ4年): ここでは、3年次で学生メンタルトレーニングコーチとして心理的サポートをしたチームへの継続したサポートと、卒業論文のまとめです。学生メンタルトレーニングコーチによるメンタル面強化の効果が競技成績、科学的分析、内省報告(アンケート)での検討やチームへのフィードバックなども実施します。現場のニーズである試合で勝つという目標を見てみると、メンタル面強化のメンタルトレーニングと学生メンタルトレーニングコーチによる心理的サポートの結果は、サッカー部が全国大会優勝、チアリーディング部が全国大会準優勝、ライフセービング部が女子全国優勝・男子全国準優勝、水泳が82%が自己新記録更新、テニス部関東2部優勝で1部昇格、陸上は総合ながら関東大会優勝、柔道は全国優勝などの成績でした。またくわえて、最近では、準硬式野球部の春秋リーグ戦15年ぶりの優勝と全国大会優勝、硬式野球部のリーグ戦優勝と全国ベスト8(春・秋)、女子テニス部のリーグ戦優勝、柔道部の全国連続優勝、ある選手のオリンピック出場、世界大会メダル獲得、オリンピックでの金メダル、水泳では100%の選手、天皇杯ではサッカー部のJリーグチームに勝つ快挙などが自己新記録達成などにもある部分で貢献したのではないかと考えています。。ただ、これらの結果は、メンタルトレーニングをしたからいい成績を上げたという意味ではなく、心・技・体のバランスという観点から、競技力向上に貢献したという意味です。この6年間では、興味深い卒論の考察が集まり、ただ普通の練習をするより、メンタルトレーニングを導入したほうがメンタル面強化に効果があるとか、メンタルトレーニングを実施したチームと実施しなかったチームを比較すると実施したチームのほうがメンタル面が強くなっていた、またメンタルトレーニング講習を受けたグループと受けなかったグループでは、講習を受けたグループのほうがメンタル面の向上が認められたなどの卒論をまとめています。

(2)大学院(修士課程)の授業を通しての試み

 

@大学院の応用スポーツ心理学特論: この授業は、応用スポーツ心理学の第1段階として、理論や研究から現場へ踏みだし、スポーツ現場での実践を観察、体験、指導、実践経験、まとめを中心に行ないます。特に、世界レベルでの情報や実践の方法を紹介します。たとえば、毎年開催される国際応用スポーツ心理学会の発表・ワークショップ、キーノートレクチャー、シンポジュームの内容をビデオとその報告書を使いながら具体的に説明します。また日本の研究動向と世界の研究動向の違いやギャップなどについてもディスカッションをします。学部のスポーツ心理学特講義・コーチング心理学・体育心理学をふまえた上でのより深く突っ込んだ講義内容になっています。加えて、国際応用スポーツ心理学会のライセンス(資格)と日本スポーツ心理学会の資格の比較や研修時間のギャップなどについても紹介をします。

 A大学院の応用スポーツ心理学演習: この授業は、応用スポーツ心理学の第2段階とし、世界におけるスポーツ心理学の歴史的背景や研究の動向を学び、研究中心の学会から派生した現場での応用や実践を中心にした「応用スポーツ心理学」を追求していきます。一方、世界の動向とは違う日本の研究動向や現場での応用等についても学びます。授業の一環として研究会や学会の参加もしてもらいます。応用スポーツ心理学の情報は日本にはほとんどない現状があり、英語の文献を購読したりして世界的な情報収集が中心となる。また、国際学会での発表やワークショップができるための発表方法、英文での論文の書き方、英会話までも学習する。この授業を受講する大学院生は、メンタルトレーニングを専門とする学生がほとんどであるために、国際応用スポーツ心理学会(北米開催)に必ず参加し、世界的な動向を肌で感じることを義務づけています。

 

B体育心理学特論: この授業は、もう一人のスポーツ心理学担当の先生の授業を受講することで知識の幅を広げることをしています。

 

C体育心理学演習: この授業も、もう一人のスポーツ心理学担当の先生の授業を受講することで知識の幅を広げることをしています。

 

D体育学研究:この授業は、2年間で自分が現場で指導・サポート・研修した内容を修士論文としてまとめることが中心になります。これをまとめる過程では、日本体育学会や日本スポーツ心理学会での発表を義務づけています。最終目標を大学院の修了ではなく、現場研修の結果としてのスポーツメンタルトレーニング指導士補の資格を取ることを目標にしています。そのためには、学会の発表だけではなく、紀要や学術雑誌への投稿なども積極的に行います。

2007年からは、大学院のカリキュラムが変更され、「メンタルトレーニング」という授業も開講されます。

Eメンタルトレーニングこの授業は、資格取得や現場で指導やサポートができる専門家育成の最終段階としての内容です。こんな場面ではこうするなどサポートやメンタル面強化の事例を取り上げディスカッションしたり、成功事例や失敗事例を取り上げ理想的な対処法を学ぶ、すぐに現場で使える専門家の行動・態度・知識を見につける内容です。


以上が東海大学体育学部競技スポーツ学科コーチ・トレーナーコースの授業や大学院の授業を通しての「メンタルトレーニングコーチ育成」と「スポーツメンタルトレーニング指導士補」育成の試みです。

現在、大学4年と大学院2年の合計6年でメンタルトレーニングを学び、メンタルトレーニング指導士補を目指す学生を募集し、各チームへの学生メンタルトレーニング指導や心理的サポートができるようにシステム化を進めています。それについては、授業に加えて、授業以外の組織作りが進んでいます。現場での研修を最低6000時間とし、知識だけでなく体験を通して、指導そしてサポートのテクニック、さらに人間性までも向上させる方向に進んでいきます。

 

(3)スポーツ教育センター・スポーツ医科学研究所のスポーツサポートシステム

  東海大学スポーツ教育センターとスポーツ医科学研究所では、東海大学スポーツサポートシステムを組織し、学内・外のチームや選手のトータルサポートを実施しています。 たとえば、@トレーニング部門・Aメディカル部門・B栄養部門・Cスポーツ科学部門・Dメンタルトレーニング部門が活動をしています。このサポートシステムでは、学内外からのチームや選手からサポートの依頼があれば、専門家を目指す学生スタッフが科学的なトレーニングやサポートをするシステムです。つまり、監督やコーチが「技」(技術や戦術など)の専門家として、「体」(体力やコンディショニング)の専門家、そして「心」(メンタル・心理面)の専門家がチームや選手をサポートして、競技力向上に貢献するシステムのことです。私たちもこの東海大学スポーツサポートシステムに参加し、「メンタルトレーニング部門」として心理的サポートができるスタッフの育成と各クラブへの派遣ができるように活動をしています。

現在は、学内十数チームや学外数十チームの心理的サポートやメンタルトレーニング指導をしています。各学生スタッフは、各チームに毎日または週末に出向き、個人的・チームのサポートをしています。

 

(4)スポーツ教育センター:トレーニングリーダー養成講座

 東海大学スポーツ教育センターでは、スポーツサポートシステムに参加する学生の研修及び公開講座として、トレーニングリーダー養成講座を毎年春・秋に開催しています。この講座では、毎週日曜日を利用し、何かの講習やセミナーが実施され、参加者は無料(学外有料)ですばらしい講習を受けることができます。ここで学ぶボランティアのサポートスタッフが、学内の各クラブのトレーナー、ストレングスコーチ、メンタルトレーニングコーチとして活動しています。この中で行われる「メンタルトレーニング実習」では、1日講習会(6月・11月の2回)を実施しています。またこの講座は、公開講座にもなっており、学外のコーチや選手またトレーナーなどこの講座に興味を持つ人は誰でも参加できるようなシステムです。ここでの講習会参加者も、遠くは静岡や埼玉などからも参加者があり、選手、ドクター、トレーナー、ストレングスコーチ、大学教師、高校教諭やコーチ、一般学生などが参加して、実施されています。

講座の内容は、@メンタルトレーニング、Aウェイト(筋力)トレーニングの理論とプログラムの実際、B形態・体力測定の方法とデータ整理及びフィードバック法、C筋力トレーニングの実技、Dスポーツ障害の予防と応急処置、Eスポーツ障害と利コンディショニング、Fテーピング実技、Gエアロビクストレーニングとウェイトコントロール、Hスポーツ選手の食事法、Iスピードトレーニング実技、Jウォーミングアップとクーリングダウン、Kプライオメトリックストレーニング実技などです。どの部門でサポートする学生もこれらの知識を常識として持ち、また各部門の専門家(学生)と協力を誌ながらチームや選手の向上のサポートをするための基礎作り講座です。

メンタルトレーニング実習は、教科書「今すぐ使えるメンタルトレーニング:選手用」(ベースボールマガジン社)を使いながら、@心理テストによる自己分析やフィードバック、Aメンタルトレーニングとは何か?B現場での実践例紹介、Cリラクゼーションとサイキングアルプの実技体験、D理想的心理状態、Eイメージトレーニング、F集中力のトレーニング、Gプラス思考のトレーニング、Hセルフトークのトレーニング、I試合に対する心理的準備などを紹介します。同時にトレーニングリーダーとしての「コーチ用のメンタルトレーニング」についても紹介します。

 

(5)東海大学メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会、

1)目的と活動内容
 1994年に関西でスタートしたメンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会の流れから、私(高妻)が関東の東海大学に勤務先を変えたことから、2001年4月に、東海大学メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会をスタートしました。これは、2000年にゼミの学生の勉強会として始めると、ゼミ以外の学生や
OB(大学で卒業後もスポーツを続けている選手)などが興味を持って参加するようになりました。そこで、2001年度は、ゼミの学生3・4年生合同の勉強会をひとつの目的として、また授業で興味を持ちもっと勉強したいという学生と学外からの参加者などを含めて、毎週1回(約2時間)開催する研究会として始めました。各クラブの練習が終了した午後7:30−9:30まで、情報交換、講習、ディスカッション、または特別講師を招いての話などの内容で実施しています。

その目的は、競技力向上のメンタル面強化についてであり、具体的には、授業や研究会で学んだ知識や心理的スキルを練習や試合で応用して、その成果や経過を報告し、各自が話題提供をする「現場(応用・実践)と研究(理論)のキャッチボール」を実施しています。

たとえば、参加者から希望のあったディスカッションは、メンタルトレーニングを始めて2年目にチームの中に「メンタルだれ」と私たちが使う「マンネリ化」、「部員の中からやる選手とやらない選手が出てきた」、「監督が理解してくれない」、「導入したいが、どのように監督やチームを説得したのか?」、「ケガをした時」などの問題提起が学生からされディスカッションをしたりもしました。特別ゲストは、毎回参加してくれる桜美林高校野球部監督が春の甲子園やこれまでのメンタルトレーニングの過程や成果などビデオを使いながら話をしてくれたり、全日本バスケットボール日本代表を11年、キャプテンも勤めていた東海大学バスケットボール部監督がメンタル面の話をしてくれたりもしました。他にもオリンピック金メダリストや世界選手権代表選手などが参加し、いろんな発言もしてくれました。また、毎回、今週のトピックスとして、「プラス思考」や「コミュニケーションスキル」などいろいろな心理的スキルやテクニックも取り上げたりします。具体的には、どんな考えがプラス思考でどんな考えがマイナス思考かということを参加者の意見から黒板に書き出し、どうすればマイナス思考からプラス思考へ気持ちを切り替えることができるか、コーチと選手・先輩と後輩・チームメイトどうしがどのようなコミュニケーションスキルを使えばいい人間関係やチームワークをつくれるかなどの体験学習なども実施した。

毎回、研究会の最後には、メンタルトレーニングのミニ講習をおこない授業で学んだ内容よりも、より突っ込んだものを紹介し、書いて、また体験してもらったりしています。講習では、ベースボールクリニックに連載されてある野球選手のメンタルトレーニング・プログラムを実施、その現場での活用法などの説明をしたりしました。この研究会は、学内だけにとどまらず、高校生、高校野球の監督、大学野球の監督、実業団野球のメンタルトレーニングコーチ、全日本スケートチームのトレーナー、サッカー専門学校のコーチと選手、大学バスケットボール監督、大学柔道監督、大学体操監督など多くの方々が参加し、学生にとってもいろいろな情報交換ができる場となっています。今後は、この研究会を専門家育成の研修の場としても活用していきたいと考えています。毎回、40名から多いときは130名が参加し、選手やコーチたちの興味の輪が確実に広がっています。遠くは、関西からの参加もあり、また毎回4時間かけ電車で来て、夜行電車で帰っていく学生もいて、学外からの参加が増えてきています。特に神奈川県下の高校・中学の監督や実業団の監督などの参加もあり、今後が楽しみな研究会です。研究会後は、近くのレストランで会食をして、現場のコーチや選手とより深い情報交換ができる機会も作っています。
 

2)話題提供を利用した実践研修 2004年からは、毎週30分を学生スタッフが話題提供する場を作り、講習をする研修準備・発表・反省)を事例検討会形式で実施しています。毎年、1月の最終土・日には、野球用の2日間集中講習会を実施し、毎年500名を越す野球選手やコーチが全国から参加します。この中からこの4年間で7名のプロ野球選手が誕生しています。研修をする学生は、このような講習会の運営を学び、マネージメントの方法を体験したりする機会も作っています。

3)海外からの特別ゲスト 

@2002年のサッカーワールドカップの際には、スェーデン代表にメンタルトレーニングを指導したラーズエリック・ユネスタール博士を特別講師に招き、講演をしてもらいました。

A2003年には、大リーグエンジェルスで16年メンタルトレーニングを指導したケン・ラビザ博士を日本に招待し、特別講演をしてもらいました。

B2004年からは、毎年メジャーリーグのストレングス&コンディショニングコーチをしている方が特別講演をしてくれます。


 (6)関東地区メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会を2001年からスタートし、渋谷の青山学院大学で毎月最終金曜日の(18:00−21:00
)の開催としています。ここでは、情報交換、トピックス、ディスカッション、講習とした内容で開催しています。参加者は、コーチ、選手、一般学生、スポーツ関係者が集まり、関東地区での普及活動にもなっています。最近は、参加者も多いときは130名を越えるようになり、関東地区でも多くのチームや選手がメンタル面強化の導入をするようになってきました。なかには、東海大学での研究会にも参加される熱心な方もおられます。参加者の多くは、各大学の運動部がチームとして参加するケースが増えています。具体的な内容は、2001年前半は、毎回2時間の初級講習と研究会をし、後半は研究会と1時間の中級編講習を実施しました。研究会後は、近くの居酒屋でより深い情報交換を終電間際まで毎回行いました。2005年度までは、毎月の研究会と年1回の2日間集中講習会を通して、多くの選手やコーチたちが参加し、学生たちのいい研修の場となっています。特に、ある大学サッカー部やテニス部は、6年継続して参加してくれています。3月の第3土・日には、2日間サッカー用の講習会を毎年開催しています。

   

(7)静岡県メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会を2005年からスタートし、清水駅前の清水テルサにて毎月第2金曜日(18:00−21:00)に開催しています。ここでは、中学や高校のサッカー選手やチームの参加が多く、また野球のコーチなども参加し、学生たちが話題提供をして研修する場を用意しています。

(8)全国各地で毎月開催されているメンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会 現在、関西地区で2つの研究会(初心者用全体会・上級者用専門分科会)、北海道支部会、栃木支部会、北陸福井支部会、愛知支部会、関東支部会、静岡県支部研究会が毎月のように情報交換の研究会を開催しています。希望があれば、全国で開催されている講習会への参加もできます。東海大学では、毎週開催していますので、これらを利用して研修ができるようにしてあります。


(9)高妻研究室

高妻研究室では、毎週4回のミーティングや勉強会を実施し、専門家育成の研修をしています。また高妻によるスーパーバイズや事例検討会など、多くの情報交換会を実施しています。可能な限り、個人的に話をする機会をつくり、個別指導(スパーバイズ)ができるようにしています。

1)    日本体育学会やスポーツ心理学会への参加

2)    日本スポーツ心理学会の資格認定研修会への参加

3)    大学院生は、国際応用スポーツ心理学会(北米)への参加

4)    春・秋のプロ野球キャンプ時には、宮崎へ見学旅行を実施し、野球が専門の学生には、どのような方法でキャンプが行われ、もし自分がプロとしてサポートするなら何ができるかの観察や分析も実施しています。

5)    プロ野球やJリーグなどの試合も見に行くことで、自分が専門家なら何ができるかを観察することも実施しています。

6)    高妻が依頼される全日本・実業団・大学・高校・中学さらに多くのプロ選手の講習やサポートを見学し、そのノウハウを学ぶこともしています。このように高妻だけでなく各先輩のサポート活動を見学したり、お手伝いをしながらの研修も数多く実施しています。2006年5月現在、約70名の学生が専門家を目標に研修を実施しています。

 

以上のように、(1)大学の授業、(2)大学院の授業、(3)スポーツ医科学研究所・スポーツ教育サンターのスポーツサポートシステム、(4)大学のスポーツ教育センター主催トレーニングリーダー養成講座、(5)メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会、(6)高妻研究室という組織を利用して、メンタル面強化の専門家育成のプログラム作成を試みています。 

この専門家育成のプログラムから、日本スポーツ心理学会の「メンタルトレーニング指導士補や指導士」が生まれることをひとつの目的としていますし、メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会の内部基準300単位システム(最低5年で1000時間以上の研修)、1000単位システム(6000時間以上)においてもこれをクリアする人が出てくることを願っています。

このメンタルトレーニング・応用スポーツ心理学研究会の内部基準(ライセンス・資格)については、このHPの中で紹介してありますので、参考にしてください。

教科書・プログラム紹介

 ここでは、専門家育成に使用する教科書とプログラムを紹介します。教科書は、書店で買うことができますが、プログラムは、非売品ですが、高妻および研修をする学生たちがメンタルトレーニング指導や心理的サポートをするときに使用します。又、研究会で実施する講習会等で使用します。


1995年から2001年まで使用

教科書  明日から使えるメンタルトレーニング:コーチのための指導書 

(ベースボールマガジン社)
プログラム@     書き込み用紙:感想用紙(非売品)

2002年から2006年度、現在まで使用

紹介編(種目別)  サッカー選手のためのメンタルトレーニング

(TBSブリタニカ) 

 

今日から始めるベースボール・メンタルトレーニング

(ベースボールマガジン社)

初級編教科書   今すぐ使えるメンタルトレーニング:選手用

(ベースボールマガジン社)
プログラム@     自己学習プログラム(非売品)
プログラムA     練習日誌(非売品)
プログラムB     試合前後のチェック用紙(非売品)
プログラムC     講習会用書き込み用紙(非売品) 

初級編教科書   今すぐ使えるメンタルトレーニング:コーチ用

(コーチ用)  (ベースボールマガジン社)


種目別初級編   野球メンタルトレーニング(西東社)
プログラム@     選手用書き込み用紙
プログラムA     コーチ用書き込み用紙

中級編教科書   大リーグのメンタルトレーニング

(ベースボールマガジン社)
プログラム@     書き込み用紙:その1(非売品)
プログラムA     書き込み用紙:その2(非売品)
プログラムB     書き込み用紙:その3(非売品)
プログラムC     野球選手のメンタルトレーニング・プログラム(ベー

  スボールクリニック連載:1999−2005)

野球選手用書き込み用紙:完成版(非売品)
プログラムD     ソフトテニス用プログラム(非売品)
プログラムE     サッカー用プログラム(非売品)
プログラムF     バスケットボール用(非売品)

プログラムG     ボクシング用(非売品)
プログラムH     空手用(非売品)

プログラムI     バドミントン用(非売品)

プログラムJ     書き込み用紙:コーチ用(非売品)


上級編教科書   トップレベルのメンタルトレーニング

(ベースボールマガジン社)
プログラム@     書き込み用紙(非売品)

専門家育成教科書 メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学の実践(非売品)
         メンタル(心理的)サポートの専門家育成教科書(非売品)

         スポーツメンタルトレーニング教本(大修館書店)
         コーチングマヌュアルメンタルトレーニング(大修館書店)
         

選手とコーチのためのメンタルマネジメント・マヌュアル    

(大修館書店)
         

最新スポーツ心理学(大修館書店)
         

スポーツ心理学ハンドブック(実務教育出版)

ビデオ教材    実践メンタルトレーニング:リラクゼーション&サイキング

アップ実技(ベースボールマガジン社)
             

メンタルトレーニング(ジャパンライム) 試合の前日・当

日用
             

科学的分析による野球のトレーニング体系:メンタルトレ

ーニング(一橋出版)
         

科学的分析による野球のトレーニング体系:イメージトレ

ーニング・バッティング/走塁(一橋出版)
             

科学的分析による野球のトレーニング体系:イメージトレ

ーニング・ピッチング/守備(一橋出版)

以上のような「スポーツメンタルトレーニングの専門家育成のシステム」を構築し、日本のスポーツ界に貢献できる人材を育成しています。今後は、プロのチームや実業団または各種目競技団体が専属のメンタルトレーニングコーチを正式に雇用する時代が来ることを希望しています。また自称専門家が混乱させている日本のメンタルトレーニングのレベル向上に少しでも役に立てば幸いです。

 

最後に、このHPを見た中学生や高校生が東海大学の体育学部競技スポーツ学科:コーチ・トレーナーコースを目指して、受験勉強をし合格し、専門家になって欲しいと思います。

  
 
日本スポーツ心理学会の「スポーツメンタルトレーニング指導士」の資格認定制度
 
2000年4月に、日本スポーツ心理学会認定の「メンタルトレーニング指導士・指導士補」の資格制度がスタートしました。この資格は、スポーツ心理学の「実践者(practitioner)」を公認するというものです。2000年には、29名の指導士と9名の指導士補が認定され、2001年には、4名の指導士と13名の指導士補の認定で、2002年3月現在33名の指導士と12名の指導士補の認定がされています。国際応用スポーツ心理学会(AAASP)に遅れること8年、ようやく日本でも資格制度がスタートし、混乱している日本のメンタルトレーニング事情を正常に戻し、日本全体でのレベルアップに貢献する資格制度を期待しています。この日本スポーツ心理学会は、1965年に発足した国際スポーツ心理学会(ISSP)の日本の組織として、1973年にできたもので、現在会員が約450名を数え、スポーツ心理学の研究や実践などの情報交換をする学術団体です。会員のほとんどが大学で教鞭をとったり研究をしている研究者や大学院の学生などが中心の組織です。残念ながら、現場のコーチや選手などの参加はまだ少なく、研究者の研究発表や情報交換の場となっています。そのために資格認定の基準も研究者の評価基準に準ずる内容ではありますが、国際応用スポーツ心理学会に比べると、まだ甘い基準になっています。ここでは、日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士ニュースレターを引用させていただいて、みなさんに日本における資格制度を紹介することにします。
 
スポーツ心理学会の資格認定委員会は、ニュースレター第1号で、下記のような文を記載していましたので引用させていただきます。
 
資格認定委員会委員長 徳永幹雄氏の文「資格認定制度の発足にあたって」から引用
 
 ここでは、資格制度の発足の経過や目的、指導士の活動内容について述べたいと思います。
最初に本資格制度の発足の経緯について紹介します。
 本学会におけるスポーツ選手のメンタルトレーニングに関する研究は、1080年頃から急速に多くなりました。また、1990年代ではメンタルトレーニングに限らず、スポーツ選手に対する幅広い心理的支援が報告されてきました。こうした学会での動きや社会的要望をいち早く察し、理事会では資格検討特別委員会(杉原隆委員長、ほか4名)を1997年に発足させました。第25回(1998年)大会で中間報告、第26回大会(1999年)で、日本スポーツ心理学会認定「スポーツメンタルトレーニング指導士」の大綱案が承認され、同時に資格認定委員会(徳永幹雄委員長、他10名)が設置されました。その後、2000年4月の理事会において「資格認定制度に関する諸規則」が承認され、「スポーツメンタルトレーニング指導士―資格認定申請の手引き―」が同年5月15日に発行され、資格認定申請の受付が開始されるに至りました。
 
2に本資格制度をスタートするにあたり、次のようなことを目的としました。
1、指導士としての社会的承認を得る
競技力向上の声が高まるにしたがい、メンタルトレーニング指導者の必要性が指摘されてきました。そうした中で、本学会がスポーツメンタルトレーニング指導士を認定することは、個人を学会が公的に認定することであり、個人の指導士としての資格が社会的承認を得ることになると考えました。
2、専門家としての承認を得る
本学会が行なう資格認定条件は厳しいものがあります。その条件を満たした資格であることから、スポーツメンタルトレーニングの専門家として社会的な信用を得ることになると考えました。
3、指導士としての専門性、責任性を高める
本学会は資格認定にあたって、その専門性と責任性を求めています。しかも、資格取得後も更新条件を満たさなければなりません。今後、認定委員会が企画する研修会はもとより、その他のスポーツ心理学に関係する諸学会に参加したり、研究業績を高めることにより、指導士としての専門性・責任性を高めようとしました。
4、スポーツ心理学への認識と理解を高める
資格認定を行なうことによって、他の学問分野の研究者、スポーツ科学者、コーチ、競技者にスポーツ心理学の認識を深め、さらにその内容の理解が高まることを期待しました。
5、スポーツ心理学会の発展を期待する
認定条件は、学術上の業績、研修実績、指導実績などを要求しています。それを満たすために未資格取得者や資格取得者の本学会への参加が高まり、日本スポーツ心理学会がさらに発展することを期待しました。
第3に本指導士の活動内容を紹介します。
スポーツ心理学の立場から、スポーツ選手や指導者を対象に、競技力向上のための心理的スキルを中心にした指導や相談を行なうこととしています。狭い意味でのメンタルトレーニングの指導・助言に限定せず、精神障害に対する治療行為は含めていません。具体的な活動内容としては次のようなものが考えられます。
メンタルトレーニングに関する指導・助言
スポーツ技術の練習法についての心理的な指導・助言
心理的コンディショニングに関する指導・助言
競技に直接関係する心理検査の実施と診断
選手の現役引退に関する指導・助言
その他の競技力向上のための心理的サポート
 
 
資格認定委員会の「スポーツメンタルトレーニング指導士認定制度について」から引用
 
1、目的
スポーツ心理学会を通して、スポーツ選手や指導者を対象に競技力の向上やスポーツ
の普及に貢献し、スポーツ心理学の研究と十宣の進歩と発展に資するとともに、競技力
向上のための心理手的スキルを中心にした指導や相談等を行なう専門家の養成をはか
るため、スポーツ心理学について一定の学識と技能を有する本学会会員に対し、日本ス
ポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士の称号を付与し、その資格
の認定をする。
 
2、認定の条件(概要)
  2種類の資格があり、それぞれ以下の条件を満たし、審査に合格することが必要。
  (詳細は、「資格認定の手引き」を参照のこと)
 
1) スポーツメンタルトレーニング指導士補
本学会の会員として2年以上在籍していること。学術上の業績5点以上、研修実
績10点以上、指導実績30時間以上、本学会の講習会の受講、スーパーヴィジョ
ン1回2時間以上を受けていること等。
 
2) スポーツメンタルトレーニング指導士
指導士補の資格を持つ者、学術上の業績25点以上、研修実績30点以上、指導実
績100時間以上等。
 
 
 
 
              学術上の業績・研修実績判定表
学術上業績 研修実績
著書(単著)5点
著書
(分担)2点
学術論文  3点
研究報告書1点
学会発表  1点
 
本講習会・研修会の講師     4点
本研修会の参加        
 2点
本学会でのシンポ司会    
  2点
本学会でのシンポ・指定討論者
 2点
本学会への参加
(準ずるもの含む)1点
その他の研修会への参加     1点